バラエティ番組『アメトーーク!』で放送されたモスバーガーをテーマにした企画。
愛あるこだわりや美味しそうなメニューの数々に大きな盛り上がりを見せる一方、番組内で流れた「ある楽曲」をきっかけに、ネットの一部が急にざわつく事態となりました。
かつてモスバーガーの顔として大々的にCM起用されていたSnow Man。
しかし、記憶に新しい2023年の「突然の契約終了・起用中止」という経緯があるだけに、なぜ今回の番組内で楽曲が使用されたのか、ファンからは戸惑いや複雑な声が上がっています。
今回の放送でなぜ再びこのテーマが注目を集めてしまったのか、当時の両者の関係や背景を改めて振り返ります。
テレビの「BGM選曲」とコンプライアンスめぐる背景

バラエティ番組、特に大手キー局の人気企画やグルメ特集では、場の雰囲気を盛り上げたりテンポを出したりするために、過去にタイアップのあったアーティストの楽曲がBGMとして使用されることがよくあります。
制作サイドやスタッフとしては、「番組を楽しく見せるための演出上の選択」として、定番曲やポップなナンバーを自然に選んでいるケースが一般的です。
しかし、視聴者(特に熱心なファン層)の視点はこれとは大きく異なる場合があります。
かつて自社のCMキャラクターとして起用していた企業が、社会的な方針やコンプライアンスを理由に「契約終了・起用中止」というシビアな決断を下した歴史がある以上、そのブランドを特集する番組内で同じグループの楽曲が何の引っかかりもなく流れることに対し、当時の記憶と結びつけて違和感を覚える声が一部のSNS等で見受けられます。
この「番組演出としての日常的な選曲」と「ファンが持つ記憶の重み」の間には、少なからず温度差が存在しているようです。
「タレントに罪はない」からこそ生まれるモ複雑な心境
ファンファンが抱く感情の多くは、楽曲やアーティスト本人に対するものではなく、過去の経緯と現在のメディア演出との間に感じるギャップに向けられています。
タレントや楽曲自体には何の落ち度もなく、今でも素晴らしい作品として多くの人に愛されています。
だからこそ、かつて「人権尊重の観点」などを理由に広告から急に排除した企業を扱う番組で、その楽曲が軽快にBGMとして使われている落差を目にしたとき、言い知れない切なさややり場のないモヤモヤを感じてしまうファンがいます。
「アーティストは悪くないと分かっているからこそ、感情のやり場に困る」というこの複雑な構図が、単なる番組の感想では終わらない、過去の記憶を呼び起こす大きな要因となっています。
何が起きた?番組内での選曲とファンの複雑な心境

問題視、あるいは注目されたのは、番組内のグルメ紹介コーナーや試食シーンなどの演出でBGMとして流れたSnow Manの楽曲でした。
これに対し、当時からのファンや視聴者の間からは、以下のような戸惑いや複雑な声が上がっています。
- 「あの時あんな形で契約を切っておきながら、番組の盛り上げには曲を使うんだ……というモヤモヤ」
- 「タレントや楽曲に罪はないけれど、ファンとしてはどうしても当時のショックを思い出してしまう」
こうした声が上がる背景には、単なる「推しが出ている・曲が使われている」という喜びや怒りだけではない、いくつかの深い理由が存在します。
「都合の良さ」を感じてしまう構造的なギャップ
バラエティ番組のBGM選曲は、基本的に制作会社や番組スタッフの判断で行われることがほとんどです。
そのため、企業側が直接「この曲を使ってほしい」と指定したわけではないケースが主流でしょう。
しかし、視聴者側から見れば「モスバーガーを大々的に特集する番組」において、かつて同ブランドの顔でありながら契約を一方的に断たれたグループの楽曲が流れるという構図は、どうしても「いいところ取りをされているような違和感」を抱かざるを得ません。
企業イメージを守るためには容赦なく切り捨てる一方で、テレビの盛り上がりやキャッチーさのためには楽曲が利用される――そのコントラストに、ファンの心がざわついてしまうのです。
風化しない記憶と、ファンが背負った「当時の傷」
2023年の騒動当時、店頭のポスター急遽差し替えや、販促キャンペーンの変更に伴う現場のバタバタをリアルタイムで目撃していたファンにとって、あの時期の出来事は決して過去の古いニュースではありません。
「タレント自身には何の落ち度もない」という理屈は誰もが分かっているからこそ、楽曲を耳にした瞬間に、当時のやり場のない悔しさやショックが条件反射のように蘇ってしまいます。
今回のテレビ番組でのワンシーンは、一度こじれてしまった企業とファンの関係性において、「記憶や感情のシコリはそう簡単には消えない」という現実を改めて浮き彫りにする出来事となりました。
2023年の契約終了の経緯と、当時を振り返る声

今回の話題の背景にある、2023年の出来事を改めて時系列で整理します。
単なる「CMの切り替え」にとどまらず、そこにはブランドとファンの間に強固な絆が築かれていたからこその背景がありました。
タイアップと起用期間(2022年〜): Snow Manのメンバーが年間イメージキャラクターに就任し、さまざまな商品のプロモーションやタイアップ曲を通じて、ブランドの認知度向上や盛り上がりに大きく貢献していました。店頭のポスターや店内で流れる楽曲は、ファンにとって身近な楽しみの一つでした。
2023年9月の発表: 旧ジャニーズ事務所を巡る問題の深刻化を受け、社会全体で大手企業による広告起用の見直しが相次ぎました。
現場やファンに残った印象: 企業としてのコンプライアンスや方針に基づく判断である一方、当時の急転直下の展開や、店頭のポップが慌ただしく回収されていく様子を目撃したファンにとっては、当時のショックや切なさが記憶として深く残るきっかけとなりました。
モスフードサービスも同年9月、「人権尊重の観点から、所属タレントの広告起用を継続しない」と発表し、販促物の急な切り替えなどが行われました。
企業タイアップとテレビの演出がはらむ「デリケートな距離感」

今回の出来事は、一つのバラエティ番組のワンシーン、そしてほんの一瞬のBGMにすぎません。
企業や番組制作側に特定の意図や悪意があったわけではないと考えられます。
しかし、この小さな出来事は「一度こじれてしまった企業とアイドルの歴史や、それに伴うファンの記憶は、簡単には風化しない」という現実を浮き彫りにしました。
企業のコンプライアンス上の判断と、テレビ番組の演出やエンターテインメントとしてのBGM選曲。
その仕組みの違いから生じる「受け手のギャップ」に自覚的であることは、今後のメディアミックスや企業タイアップのあり方を考えるうえで、大切にされるべき視点の一つと言えそうです。
まとめ:ファンが抱く「モヤモヤ」の本質と、これからのメディアに求められるもの

今回の『アメトーーク!』におけるモスバーガー企画とSnow Manの楽曲をめぐる一連の波紋は、単なるSNSの一過性の話題にとどまらない、重要な教訓を私たちに残しました。
- 消えない記憶と構造的なギャップ:2023年の契約終了という冷徹な決断と、番組を盛り上げるためのBGM起用という「企業の意図」のすれ違いが、ファンの心にある当時からの「しこり」を呼び起こした。
- タレントと楽曲の罪はないからこそ:アーティストや楽曲に落ち度がないからこそ、コンプライアンスを理由に切り捨てた過去と、都合よく音楽を利用されているように見える構造との間に、ファンはやり場のない複雑さを感じている。
- 求められる「感情の機微」への配慮:メディアミックスやタイアップがあふれる現代だからこそ、数字や演出の裏側にある「ファンや視聴者の感情の歴史」に寄り添うデリケートな姿勢が、企業やテレビ制作サイドにより一層求められている。
過去の出来事は簡単に風化しません。だからこそ、作り手側と受け手側にあるこうした「距離感のズレ」に自覚的であることが、これからのエンターテインメントや企業コミュニケーションをより誠実なものにしていくはずです。

